蕎麦(そば)の栄養と働き
2013年01月30日
日本各地どこに行っても、その土地での名物そばがある。北から津軽そば、わんこそば、すんきそば、出雲そば、皿そば、対馬そば、薩摩そば・・・・・・と数え切れない。どこでもソバが栽培でき、しかもその土地の食生活にあった料理の仕方が工夫されている。さらにそばは生でも食べられるし、水で溶かすだけ、あるいは短時間の加熱だけでおいしく食べられる。手軽に料理できることは、インスタント時代の現代にも、昔にも通じる利点である。また、つなぎに小麦粉を使うようになってから、食感がすぐれ、栄養面でも良い点が増したことも見逃せない。ヘルシー食品としてのそばを栄養面から眺めてみよう。B1やルチンは水溶性のため、そば湯に溶出してしまう。これらのビタミンやミネラルの効用を期待するなら、茹で汁、そば湯を忘れずにのむのがコツである。お店でもドシドシお客様にすすめて欲しい。
ミネラル
微量成分としてミネラルについて触れる。ミネラルは二番粉、三番粉に最も多く存在している。カリウム、マグネシウム、リン、鉄が多い。カリウム、マグネシウムは大豆や2,3の豆類にみられるのみで、きわめて特異である。また鉄含量も他の穀類に比べてきわめて高く、大豆の2倍も含有されている。これらのミネラルは高血圧を防いだり、貧血を防ぐ作用があるので貴重な存在である。ただ、カルシウムは少ないので、他の副食との組合せを考えたほうがよい。
食事にそばを常食している人は、副食に卵や天ぷらを入れたり、鶏肉や野菜を添えるといった配慮により、栄養素の組み合わせが理想的になる。
国立栄養研究所栄養資源開発研究室長 辻 啓介 より