蕎麦用語「く」〜「こ」
■くち味醂【くちみりん】 辛汁の味の調整において、最後に加える味醂。飲める味醂を使うことが肝心らしい。
■口物【くちもの】 大口注文のことをさす。
■九品院【くほんいん】 九品院は、浄土宗誓願寺に属した「塔頭寺院」の一つで、「延命蕎麦喰地蔵尊」をまつっていることで知られる寺である。
■車【くるま】 車海老のこと。天ぷらそばの素材では最も高級。東京の老舗は、たとえ小さくてもだいたい車海老を使っている。
■化粧水【けしょうみず】 茹であがったそばを洗い桶で洗ったあと、仕上げに清水をもう二三回かけること。これにより、そばがキリッと締まっておいしくなる。
■玄蕎麦【げんそば】 黒い殻のついた蕎麦の実のこと。
■慳貪【けんどん】 けんどんとは、麺器を納める箱の蓋を言う。慳貪の名を蕎麦に冠したのは、寛文四年に慳貪蕎麦切り始まる、値八文ずつにて、下賎の食とすとあるのが、けんどん蕎麦の最初である。
■五穀【ごごく】 五穀とは主食とする穀物の代表でイネ、ムギ、アワ、キビ、マメを指します。
■こし 噛んで弾力を感じる歯ごたえを言う。ただ固ければいいというものではない。もちもちとした弾力、粘り気が望ましい。柔らかいけれど、歯をしっかり受け止めてくれるような力強さが蕎麦独特のコシなのである。
■御膳がえし【ごぜんがえし】 かえしに、さらに同量の味醂を加えて作ったかえし。もり汁とざる汁を区別している店では、ざる汁用に用いられた。
■御膳蕎麦【ごぜんそば】 更級粉で打った純白の蕎麦は、香りは乏しいが、上品なので御膳蕎麦と呼ばれた。
■御前蕎麦【ごぜんそば】 江戸時代、「永坂更級」では、卵白をつなぎにした白い更科蕎麦をもって、将軍様や諸大名の御用をつとめたので「御前蕎麦」とも称した。
■ゴソウ 出前の後口のなき場合に言う。
■粉焼け【こなやけ】 粉を挽く際に、摩擦熱が加わり、風味を損なってしまうこと。あえて石臼引きを使うのはこれを防ぐため。
■捏ね【こね】 木鉢で蕎麦粉に水分を加えて練る作業。水回し【みずまわし】とも言う。水で練るのは「水捏ね」、水の代わりに熱湯で練るのを「湯捏ね【ゆごね】」と言う。
■小間板【こまいた】 駒板とも言う。麺を切る時に当てる木製の定規。小間板の材質は、手でおさえる部分が、桐や杉などでできており、「立ち上がり」と呼ばれる定規の部分は樫木で、薄板の端は削られていて、そばが最後までなめらかに切れるようになっている。
■五味【ごみ】 蕎麦の味覚は五味を超えると言われてきた。「甘【かん】、酸【さん】、鹹【からさ】、苦【く】、辛【しん】」などと言い、あまさ、すっぱさ、しおけ、にがみ、からさのことを言う。六味といえば、「淡」が加わりさっぱりしていると言う意味。
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