蕎麦用語「さ」_1

■ざいらいしゅ【在来種】その土地で昔から栽培されてきたソバの品種。【それぞれ土地の名前、実の形状、収穫時期などにちなんだ名があるが、これらの名は品種を表すものではない】
■さくら【桜】通し言葉。そばの盛りが少なめなこと。=きれい
■さげなわ【下げ縄】大工用語で、江戸ではそば、上方ではうどんを指す。咄家用語では、略して「なわ」とも言う【この場合はそばのみ】。
■ささきり【笹切り】さらしな粉に笹の葉の粉末を練りこんで打った変わりそば。七夕の日などに食する。ささそば。
■さしみず【差し水】そばなどをゆでる際、沸騰して吹きこぼれそうなときに水を入れること。「びっくり水」とも。
■さらしな【更科】超有名なそば屋の屋号。総本家は東京・麻布十番にある「永坂更科」で、寛政2年【1790】に初代太兵衛【八代目清右衛門】が「信州更科蕎麦処 布屋太兵衛」【この人は元々布屋だった】の看板を掲げたのが始まり。以来、直系は「布屋なにがし」を名乗っている。ちなみに更科の「更」は信州の「更級」から、「科」は「更級」の「級【しな】」に、領主の保科家から使用を許された「科【しな】」の字をあてたものと伝えられる。現在麻布十番には「永坂更科布屋太兵衛」「麻布永坂更科本店」「総本家更科堀井」の3店がある。
■さらしな【更級】信州の郡名。中心地である篠ノ井は、江戸時代にそば粉の集散地であったため、「信州更級」の名が広く知られるようになった。
■さらしなこ【更科粉】「抜き」を軽く粗挽きしたときに割れ出る胚乳の中心部を挽いてふるいにかけ、選別された粉。色は白く、わずかに甘みがあるが、でんぷんが主体で、そばらしい風味はない。たんぱく質がほとんど含まれないので粘りが少なく、麺を打つにはつなぎが必要。=いちばんこ、ごぜんこ
■さらしなそば【更科蕎麦】さらしな粉で打ったそば。色は白い。
■ざるそば【笊蕎麦】本来は竹ざるに盛ることからついた名前。海苔をかけるようになったのは明治以降で、本来は何もかけずにわさびを添える。
■さんしょうきり【山椒切り】サンショウの粉をそば粉に練りこんで打った変わりそば。
■さんたて【三立て】挽きたて・打ちたて・ゆでたてのこと。美味しいそばの条件。
■さんばんこ【三番粉】二番粉を取った残りの部分から挽き出された粉。この段階になると甘皮も挽き出される。挽き立てで鮮度が良ければ薄い緑色。そばの香りが最も強いのがこの段階の粉で、栄養も多いが、繊維質が多いので、舌触りは一、二番粉に劣る。別名「表層粉」。
■ざるそば 語源は単純で、そばを笊に盛って出したからである。江戸時代の初期から中期にかけての頃、冷たいそばは平椀か皿に盛るのがふつうだったが、そこに登場したのが笊に盛るという新趣向だった。今は一般に、ざるそばイコール「海苔かけ」と思われている節があるが、もりそばに海苔をかけて「ざる」としたのは明治以降のことである。本来は何もかけずに、わさびだけを添えるのが定法とされている。
■サクラ キンと反対の言葉。分量を少なく盛ること。
■笹切り【ささきり】 笹粉を混ぜた変わりそば。笹の若葉を粉にして、蕎麦粉に混ぜた変わりそばの一つ。山国の風趣をしのぶ趣向だ。
■さなご ソバの実を外皮すれすれまで挽きつめ、ふるいにかけて通り抜けずに残った最後の粗い粉。栄養分は豊富だが繊維質が多いため、余り食用には用いない。

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